外国にまつわる、よもやま話18〜コンクールの思い出2〜

こんにちは。仲村真貴子です。

…理由はわからないままに
書類が届かずに
コンクールに行くことを断念した後も
結構忙しく…。

元々、春学期って
結構忙しいんですよね。

コンクールや
オーディションが
この時期には多いことに加えて
休みが多い。

イースターとか、
その後も三連休がちらほら。

忙しいのが満足!
忙しい方が頑張ってる!
と思うのは、
まぁ人間の心情かもしれません。

試験のリサイタルのプログラムは
ベートーヴェン:ソナタ第31番
スクリャービン:ソナタ第3番
シューマン:クライスレリアーナ

いい曲揃い!!
でも、重いですな…。(笑)

全部メイン!
カツ丼とハンバーグと、
ステーキ!!!
みたいな。(笑)

それで、他のこともやります!
っていう。
若気の至りか、
悪あがきなのか、
バカなのか、微妙。(笑)

コンクール1つなくなったからって、
コンチェルトのオーディションを
やっぱりやったり、
急な伴奏を引き受けたり、
相変わらずな私。

休んでる場合じゃないから。

医者も病院も薬も嫌いな私が、
珍しく風邪気味なのを察知して
早めに医者へ。

6月の頭頃だったかな。

本番前とか、
おそらくはストレスにさらされると
原因不明に咳が長引くことが度々あって
それは避けたいな…
と思って。

けれど
残念ながら避けることができず…。

本番中って気が紛れるはずが、
本番中でも気管の辺りがヒリヒリして
かと言って、別に熱はない。
本番中でも咳が出そう。。。
普通の時は止まらない。

見兼ねたRamirezが
(…私が伴奏していたクラスの教授。
おぢさんのネタは後述します。笑)
目の前で電話して医者の予約を
無理矢理取るとか。

それで。
…ステロイドの注射打たれました。
歌い手か?!っていう。

けれど、
3日後くらいに薬が切れて、
また振り返して、
より大変な感じに。

「アレルギー?」
と聞くRamirezに、
「うん。Ramirezアレルギー。」
って言ってました。(笑)

そんな中で、
コンクールに行くのを見越して
リサイタルの通しリハーサルを
前倒しして入れていたんです。

こんな感じだから
あまりさらえておらず。
まだ時間もあるし、
取り敢えず弾けばいいかな?
と気楽に思っていたら。

…思ったより弾けない。

暗譜はまだ
本番までに詰められるとして、
結構音が荒れていた。
何か、いい音してない。
これはマズいかなー…
と思いながら、
まぁエチュードとか
コンクールの曲も頑張るか、と。

リハーサルが終わった後に。

Pistoriusが
「コンクールを棄権しろ。」と。

「試験のリサイタルを
何だと思ってる?
コンクールは試験がないときに
5個でも6個でもやればいい。
でも、試験のリサイタルは
1回きり。
もう、ない。
他にやってることは全部やめて
そこに集中するべき。

何が今いちばん大事か。
ちゃんと考えて…」

うちの師匠は、
基本的に強制しないので
ここまでハッキリ「やめろ」というのは
かなり珍しい。

その本気具合に
ただことじゃない…
と思ったほど。

録音審査に通ったコンクールだったし、
開催するのも数年に1回、
本選はコンチェルトだったから
実はそれでも行きたかった。

だから、
懲りずに次の日
鬼ざらいしてみたり。(笑)

ただ事じゃない感を感じ取ったRamirezに
事の成り行きを伝え…
「行って一位になれると思うなら
行ったら??」と。(笑)

うわー、
来たー。

「試験のリサイタルを
何だと思ってる?
コンクールは試験がないときに
5個でも6個でもやればいい。
でも、試験のリサイタルは
1回きり。
もう、ない。
他にやってることは全部やめて
そこに集中するべき。

リサイタルは
何を大事にしているのか
本当にちゃんとやっているのか
聞く側は全部わかるよ。」

…あれ??
どこかで聞いたセリフ…。

愛すべき師匠たちは
不思議にどこか考え方が似ていて。

けれど、
事の成り行きを理解しつつも
自分で決めたことが
やり切れないのが嫌で、
棄権するのは悔しかった。

一方で、
体調もまだ本調子ではなかったし、
いい加減に本番を重ねて、
しかも移動や宿泊を含めるものは
負担が大きい。

「準備できていれば
文句は言わないけど…。」

…自分の詰め込み具合に
ちょっと反省。
でも、だってやりたかったんだもん…。

落ち込んだ気持ちと心を
回復させつつ、
初めてちょっと
伴奏のお休みをもらった時は
「やっと断ること覚えたね」
と言われる始末…。

6月までは結構涼しくて
コートなんかも着ていましたが
突然37度の日が1週間以上続く
大変な状況になり
コンクールを棄権したのは
よかったのかもしれません。

基本的にエアコンはないので。
「ピアノって、何で黒いんだろう?」
とか思い始めますね。
光を吸収も反射もするから、
余計暑い。
過酷。

幸い私のリサイタル本番の時は
ホールのエアコンが壊れることはなく
「体調を崩して
コンクールを棄権したことが思い出」
のリサイタルを終えました。

酷暑の、冬っぽいプログラム。
でも、濃密な愛すべき曲たちです。

棄権したことに後悔はないけれど。
その事態になってしまったことは
ちょっとほろ苦い思い出。

ちなみに打ち上げは
うちの師匠と…

ではなく、
Ramirezとうちの家族、
私の友人でした。

「じゃあみんなで楽しんで〜」

という、Pistorius。

「何が今、いちばん大切か
ちゃんと考えること」

先人たちの教えは
偉大ですね、きっと。

リサイタル終演後。
P:「そういえば、
コンチェルト3曲も
一緒にプログラム
提出してるはずだよね?
何にしたの??」
M:「あ、モーツァルトのd-mollと
ベートーヴェンの4番と

ブラームスの2番です。」

P:「最初の2曲はわかるけど
最後の1つはなんだ??(笑)
まきこってこういうことするよね。」

…えへへー。(照)

それでは、また!
仲村真貴子

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追伸:
実は私の試験、
休憩でピアノ科の教授の1人が
「暑いし、
半分聞いたから帰りたい」
と言って帰ってしまい、
そこに居合わせたRamirezが
急遽試験官に。
念のために言わせて頂くと、
私の出来が悪いから!
ではなく、
試験はリサイタルだから。
他の生徒の試験とか
入試とか
長いし帰りたい!
…という先生も。

「帰りたい!」
って言って、
実際に帰るなよ!
とも思うけど。(笑)

声楽家の教授、Ramirezは
「ピアノ科の試験官もやっちゃった!
サインもちゃんとしたもんね。」
とおどけておりました。(笑)
次の日は両親共々
お住まいの街にご招待頂き、
彼の友人宅に突撃ピンポンして
即席飲み会。
南米ルールですな。
いろいろ思い出すぎる。