真夏の夜のメンデルスゾーン

こんばんは。仲村真貴子です。

…こう暑いと、涼しい部屋で音楽を聴くか
ピアノを弾くかするのが良いのでは?と思う。
実は夏は強いつもりだけど、暑い。

以前、何かの雑誌の記事で
「梅雨の季節に聴きたい曲は?」
という質問に、
「ドビュッシーの版画」
と答えたことがあるけれど。

「夏に聴きたい作曲は?」
と聞かれたら。

「メンデルスゾーン」

って答えるかもしれない。

さて。
「メンデルスゾーン」って、誰よ??笑

「結婚式で有名な曲!」
「ヴァイオリン協奏曲は有名で
多分どこかで聴いたこと、あるよ!」

…とか言ったら、もしかしたらわかってくれる人も
いるかもしれない。
でも、例えばモーツァルトとかショパンとかに比べたら
ちょいと知名度が低い気もする。

かく言う私も、
メンデルスゾーンの良さが、イマイチよくわからなかった。

大学に入ったときとか、ドイツにいた時とか
「メンデルスゾーンは素晴らしい!」
「今日、モーツァルトとかバッハが評価されているのは
メンデルスゾーンのおかげ」

とか言われても、
割と真面目に

「だから何さ??」

と思っていた。失敬

「真夏の夜のメンデルスゾーン」
とか言ってみたところで、
実は真夏の盛りにメンデルスゾーンを弾いていたことが
意外と多い。

「知名度が低い」と言う感覚の通り、
例えば大学の試験なんかでは
素通りできてしまう作曲家…と、
言えないこともないと思う。

「無言歌」とか、
今でこそいい曲がたくさんあるなぁ…とか思うけど
ほぼほぼ素通りしてきた。
だけど、昨年の夏にとある事情で鬼練してた。笑
もしかしたら、そのうち、
本番で弾くかもしれない。
それも悪くないな、って思ってきてる。

メンデルスゾーンとの出会いは結構最悪で。
「コンクールの課題曲」だった。

小学校4年生の頃。
「ロンド・カプリチオーソ」と言う曲は
最後の2ページがほぼほぼ全てオクターヴの連続…。

小指が弩級に短くて、手が小さい私にとっては
全く歯が立たず、
仮に予選に通っても絶対弾けないじゃん…と言う
結果よりもその前に、非常に悲しい思いをした。

次の年は、
メンデルスゾーンの「練習曲」が課題曲で、
6分くらいあって、本当に難しかった。
あれはマジで、夏休み返上で鬼練したわ。
よくやったわ…。

そんなわけで、
メンデルスゾーンの印象は、
私の中ではイマイチよろしくなかった。

あー、でも
弦楽八重奏、超いい曲じゃんずるいぜ!!
とか思ったこと、あったかな…。

さて、次の「真夏のメンデルスゾーン」は
大学2年の時のピアノ・トリオ。
地元出身3人でトリオをやって
それはそれは楽しかった…けど、
ピアノはやっぱりめちゃ大変だった。

「オクターヴが多い」
「細かくて速い動きが多い」

と言う、10歳前後のチビマキコの記憶よろしく、
「あぁ、メンデルスゾーンって、これねぇ」
という感じで、
これまたやっぱり結構大変だった。

何でもやりたがる盛りの大学2年だったけど
意欲よりも中身がついていかなかった私は
トリオにほぼ全てを捧げた思い出がある。

「合わせしたら23時になってたとか、あったよね…。」

そういえば、そうだった。
そして、本番後は楽譜をホールにそのまま忘れ、
その後1週間以上、気が付かなかった。笑

大学3年の時は、夏をドイツのLipzigライプツィヒで
過ごした。
ライプツィヒといえば、
バッハもそうだけど、メンデルスゾーンも縁が深い。

音楽大学の名前はメンデルスゾーンの名前がついているし、
メンデルスゾーンの家も残っていて、行ったことがある。
部屋の片付けをした時に、
自筆譜の葉書が出てきてびっくりした。
(…要するに、忘れていた。笑)

それよりも。

そのときに聴いた
メンデルスゾーンのチェロ・ソナタが
すごく印象に残っていて。

「いつかこれ、やりたいな…」

と思って、速攻で楽譜を買った。
…なんだけど、
学校の授業で弾いた時には全く弾けなくて
これまた再び悲しい思いをした…。

時は流れまして。

「メンデルスゾーンの2番のチェロ・ソナタ
弾きたいなと思っていて…
でも、ピアノ大変なんだけど…」

ウォーーーー!
例のアレじゃん、うん知ってる!

と、いう訳で。

今年の夏は
四六時中メンデルスゾーンのチェロ・ソナタが
脳内を無限ループする日々でございます。

そう。
メンデルスゾーンって、意外とクセになるっていうか
ナゼか無限ループする。

前に、本番当日に
偶然シンフォニーの「イタリア」を聴いてしまって、
それがぐるぐるして苦労したことがある。笑

それはいいけど、チェロソナタ。
いい曲だし、楽しい。

「オクターヴが多い」
「速い動きが多い」
「弾くのが大変…」

って、まぁそれはそうなんだけども、
「それがメンデルスゾーンらしさか?」
と言われると、ちょっと違いまして…

メンデルスゾーンって、
爽快感もあるし、暖かさもあるし、
とっても幸せな音楽。

ある人に
「幸せが、近いところにある感覚」
って言われたのが、すごく印象に残っていて、
うんうん、そうそう、そんな感じ。

「弾くのが大変」なのが、
ギラギラしたビビットなもの…というよりも、
すごく幸せで、割と青春真っ盛り!っぽいところも
あるかもしれない。

「音楽は時間がかかるもの」
とか言われるけども。

確かに、弾けるようになるのに
それなりに時間がかかって、
前は弾けなかったものが弾けるようになるっていうのも
それはもちろん嬉しい。

それよりも。

以前は、そんなに「いいな」と思えなかったものが
「これ、いいじゃん!」と思えることが、
嬉しかったりする。

良さを感じられることに時間がかかる、というか、
感じられる自分になることに時間がかかる、というか。

今年も、メンデルスゾーンを弾く
よき夏の日を。

それでは、また!
夜をこめて。
仲村真貴子

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