プログラムを考えること。

こんばんは。仲村真貴子です。

演奏会とか、本番があるときに、本番よりも前にまず楽しいのが「プログラムを考える時間」。

これは、一人でやるときも、誰かとやるときも一緒。

あーでもない、こーでもない、と言いながら、季節は?場所は?コントラストか、統一感か?なんて思いを巡らせて、無数にある曲の話をするのは、本当に楽しい。自分が無敵なような、あるいはドラえもんと共存しているかのように、何でも弾けそうな気がしてくる。(笑)そして、そんな意欲がある自分に、少しホッとしたりもする。

…とは言っても。

「『好きな曲、何弾いてもいいよ!』って言われたら、今何弾きたい?」

この質問に、おびただしい数の曲を羅列するかと思いきや、意外にこの質問に困った。

「え…。私に向いているもの、何ですか?」

内心、思ったことはコレ。得意の質問返し。(笑)

自分に向いているものを弾く、自分に合っているものを弾く、弾けるものを弾く…。

この概念はどこから来るのだろう?

ふと疑問に思った。

長かった学生生活と、入試とかコンクールとか、結果が伴う場所にいすぎた弊害かもしれない。「向いているものを選ぶ」というと、ある程度弾きたいものは我慢しなければならないことも度々起こる。マイナスの要素が出ないもの…というと、速い、強い、みたいな要素を持たない私は、「一般的に」そう思われている曲は除外せざるを得ない。「速い、強い」がないだけで、正直入試とコンクールは苦労する…というのが実感かもしれない。ちょっと大雑把だけど。

音源の整理をしながら、自分の録音を聴いてみると、少々意外だったりする。楽譜を広げて赤丸チェックをするのは後にして、気恥ずかしいけどBGM代わりにして掃除なんぞしてみる。(笑)「一般的に」割と速くて強い、勝負曲みたいに弾かれる、「ダンテ」とスクリャービン。スクリャービンは必要に迫られて弾くこともあったけど、「ダンテ」は勝負どころで弾いたことはない。速くて強くないから、弾きたくて弾いたけど、勝負にならない、と思っていた。

まぁ。突っ込むところ、あるけど。
別に速くて強くないけど。
結構天国的だけど。
それもアリ…かもよ?

これが感想。

確かに曲とか、作曲家との相性とか、弾き心地のよさ、とか、あるけど。

「向き、不向き」で曲を選ぶ必要は、無いかもね…というのが結論。

人に不向きと思われても、人にないものが出せるなら、弾けばいいかもね。

そんな訳で。

「今弾きたい物は何?」

と訊かれたら。

「ラヴェルのクープランの墓」

とか答えるかもしれない。(笑)

スクリャービンの前奏曲なんかもいいかもね。

ラヴェルとか弾くのに、速くも強くもないし、それが理由で諦めたことあるけど。

ゆるくて水っぽいラヴェルがアリなら、オリジナルでいいものになるかも知れない。
もしかしてだけど。(笑)

その前に、薬指の不安を解消しようかな。

それでは、また!
仲村真貴子