11月22日 リサイタルに寄せて 〜その27「ミクロとマクロ」〜

こんばんは。仲村真貴子です。

…欲しい曲をパソコンに取り込みたくて、
借りてきたミスチルのアルバムのタイトルが、

「micro」と「macro」。

いいタイミングで、いいこと教えてくれるじゃんね。

「ミクロ」と「マクロ」。

音楽史の先生が、授業の中で遣っていた言葉が印象的で、今も覚えている。

ベートーヴェンの生きた頃の時代の「ピアノ」という楽器。
ベートーヴェンの生きていた頃には、ピアノが飛躍的な進化を遂げて、
ピアノの音域が広がったり、連打ができる楽器が登場して、
嬉しくて「ワルトシュタイン」みたいな曲を書いたり。
でも、「マクロ」の視点から見ると、
ピアノが、現代のハイスペックで巨大な「マシーン」へと成長するのには、
まだまだ時間がかかる頃…というお話。

その話を、今の「携帯電話」で考えてみるとわかりやすくて、
長い間「固定電話」というものがあって、
Fax機能が付いたり、ナンバーディスプレイが付いたりして、
携帯電話が登場してきた。でも、スマホになるのは、まだ先の話。
ガラケーも、カラーになって、カメラが付いて、動画が取れるようになって、
スマホになってきた。
10年前はガラケーを使っていたけれど、
スマホは今や3代目。
進化と時代の流れは急速だ。

私は結構、本当は細部が気になるし、細部にこだわりたい性格。
あまりそうは見られないけれど、
何か物事を始めたり、準備したり、成し遂げようとするときに、
細かいところがキチンとしていないと、本当は嫌。
片付けが苦手なのは、細部がキチンとしていないと嫌で、
「出来ないなら、もうどーでもいいや!」となるから。(笑)
そして、ネット関係の準備だって、
自分で「これで完璧にイケる!」と思うまで出したくないのが本音。
おかげで、当然やることが遅くなる。
やる気がナイわけじゃないんだよ、本当だよ!!
…とは、本人の弁。(笑)

…もちろん、演奏も、しかり。
録音とか聞き返すと、もうミスとか気になる。
「そういうところを聞く訳じゃない」とは知りつつ、
雑になる気がして許せない。
音楽家や芸術家に、楽天的で大雑把な人よりも、
細かくて神経質に見える人が多いのは、こんなところかも。

だから、本番直前まで、本当は細部に拘りたい。
ミスとか、減らしたい。(笑)

…そんな私を知ってか、知らずか、(…多分知っていたと思うけど。笑)
ドイツでは、師匠Pistoriusが
「本番前は、必ず1日に一回は、全部通すように」
と言っていました。
日本では、
「本番前は弾きすぎないように。細部を確認して。」
と言われることが多く、それが習慣化していたので、
実は全くドイツではいうことを聞かず。(笑)
家にピアノがなかったので、弾けるときは「細かいところを…」と思っていた。
でも、本番前のリハーサルの時は、
「あまりに弾かなさすぎて、意味がない。」と、
毎回怒られていましたね。(笑)

ドイツでの師匠の言葉達は、今頃になって不思議に腑に落ちることが多くなり、
「彼らが言いたかったのは、これなのだな…。」と感じることが多くなってきました。

…というわけで。
通しています。(笑)

雑になりそうで、怖いのと、
ちょっとでもミスったら、始めからやり直したい!とか思うけど、
意地で通し。(笑)
体力勝負です。

リサイタルで弾くものは、1曲ではない訳で、
やっぱり「全体から見えるものは、なんだろう?」という話になってくる。
点描画が、近くで見ると「点」しか見えないのと同じように、
離れて見て浮かび上がるものを探るのも、大事なんだな、と。

物事の理解も、時間がかかるけれど。
「ミクロ」と「マクロ」の視点を行きつ戻りつしながら、
レベルが上がっていたらいいな…なんて思っています。
ワタクシの手羽元…もとい、二の腕がさらにたくましくなりそうな予感。(笑)

それでは、また!

仲村真貴子
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