外国にまつわる、よもやま話28〜音楽家の何たるか〜

こんにちは。仲村真貴子です。

…Ramirezの第一印象。

「おぢさん、歌上手いね!」

って感じです。(笑)

歌が上手くて、
日本が好きで、
アホのような冗談が好き。

…でも、
いわゆる奇人・変人ではなく、
そう言った意味では
割と普通な人。

おぢさん、歌上手いね。

けど、
ちょっと「普通の上手い」
じゃない感じがする。

何かちょっと、
ハンパない。

それで、
プロフィールとか見てみたら。

ウィーンで歌ってるとか、
スカラ座で歌ってるとか、
バレンボイムと、
サヴァリッシュと、
ムーティと…

とか、
なんかそんな感じ。(笑)

あ。
やっぱりちょっと
ハンパなかった…。

と言うよりも。

ちょっと
自分の感覚を
信じてみたくなった。

そんなところかもしれません。

自分が「スゴイ!」って思ったら、
やっぱり「スゴかった!」
…って言う感覚。

経歴で惑わされる、
とか言うことよりも、
正直な自分の「感覚」を。

けれど一方で、その、
世界の超一流みたいな人たちが。

一体、
何を見て
何を考えているのか。

そんなことに迫りたくなったのは
おぢさんのせいかもしれません。

あるいは、
願わくば
そこに行きたい…
と思うようになってしまった。

Ramirezは、
本当は名字に”Dr.”が
付いているんですよね。

えーと。
何の”Dr.”なんだろう…?

そしたら。

Dr.Medizin

って書いてある。

Medizinって何だっけ?
医学?
そんな訳なくない??
あ、薬学かな??

…と思って辞書を引くと。

Die Medizin 医学

…当たり前です。(笑)

つまり。
歌の上手いただのおぢさんは
元医者。

天は二物を与えるようですね。

ここで、
初級ドイツ語会話を。

“Sind Sie Arzt?”
(あなたは医者ですか?)
“Ja, ich bin Arzt.”
(はい、私は医者です。)

…笑。

何でもドイツに来たのは
医学での奨学金だそうで。
音楽と医学は
同時に学んだそう。

「医者になろう」
と本気で、心の底から
思ったことは
あんまりないから
別にいいのだけれど。

「音楽家の、何たるか」

そんなことを
始終考えさせられた。
そんな時間だった気がします。

歌のレッスンで
ピアノを弾くのは、
歌が好きで、
レッスンが好きで
「何か」を得るには好都合。

生徒も先生も
人間観察には役に立った。
萎縮して弾くクセのあった私は
随分ビビらなくなった。
あるいは、
あの息の流れは…
懐かしく思うこともある。

そんなことよりも。

「音楽家の何たるか」

医学を修めて、
歌い手で、
語学も堪能なら
テニスも好きだし
飲み食いも好き。

超絶ストイック!
と言う感じでもなければ、
意外に不器用だったりもする。

…でも、
どうしてこうなるの?
と思ったら。

「難しいことが
とにかく好き。
出来ないことができたり、
知らないことを知るのが、
好き。」

…と言っていた。

そう言えば、
超ド級にポジティヴだったっけ。

最後に。
「何か、
メッセージとか
アドバイスとか、ある?」
と訊いたら。

“Bleib Du.”

…単語2つで終わりかい。(笑)

“Bleib Du.”
とは、
直訳すれば
「君のままで」
と言うこと。

自分のままで、
ありのままに、
何もしなくていい!

…かと思ったら。
何やら随分様子がおかしい。

自分の何たるかを知ること。
自分が持っているもの、
自分が本当に欲しいものを
ちゃんと知ること。

音楽家の何たるか…
と言うよりも、
「人間の何たるか」
みたいな話じゃんね。

歌の上手いおぢさんの
名言、格言、珍言を
久々に。

今こそ意味を持つもの…
と思いつつ。

それでは、また!
仲村真貴子

…若かりし頃のおぢさん。ロンドン・コヴェントガーデンにて。

追伸:
難しいものが好き!
って言ったら、
やっぱり
「キャンディークラッシュ」
かなぁ…。

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