こんばんは。仲村真貴子です。
音楽家の人たちが苦労することの1つに、楽譜の整理があると思う。
大体、普通の本よりも大きいし、音楽家以外の人にとってはおそらく役に立たない。
そんな悩みは、近い将来、タブレットによって解消されるかもしれない。でも、楽譜そのものへの愛着とか、誰かが書き込んだメッセージを楽しむような感覚は薄れていくような気もする。
ドイツから引き上げる際に、やはり大変だった荷物は楽譜とか本の類だった。それに、自分のソロの楽譜・コピー譜以外に、明らかに増えたものがあった。
ひとつは辞書。
語学関係の本は、ドイツではかなり安いこともあって、ドイツ語+他の言語の辞書をいくつか持っている。オペラの辞典もある。
もうひとつは、いわゆるヴォーカル・スコアと呼ばれるものたち。
オペラとか宗教曲とか、ピアノ用に編曲されたスコア。
これは、大半がもらい物。
事の発端は、パリに行ったとき。
「『ドン・ジョヴァンニ』と『ラ・ボエーム』の楽譜を買った。」と言ったら。
Ramirezが「え、あげたのに…」と…。
「あげたのに!って、『ちょうだい』って言えないぢゃん…。」
「え、だから、あげたのに!!!今、言った!!」
「……はい???!!」
…そんなワケで、欲しい楽譜を列挙して、結構たくさんもらった。「頂いた」というよりも、「もらった」という方が、ナゼだかしっくり来る。
楽譜自体もそうだけど、結構面白いのが「書き込み」。
公演や共演者の記録とか、舞台の図とか。それらは、活動の一端が垣間見えて何とも言えない気持ちになる。ブレスとか、フレーズとか、和声とか発音とか…あぁ、こうやって勉強したんだなぁ、と思うことも。コロンビアから日本に来たものもある。ときには、「そんなにここの拍子、取るの大変だったか??」とか、「そんなに音程取れなかったか??」と突っ込みたくなるような書き込みもありつつ…。(失敬)
もらった楽譜の中で、意外や意外、重要なものがある。
バッハの「マタイ受難曲」。
「コラールとか、和声感覚なんかのために弾くといいんだよね。マタイとかあれば。」
「あ、マタイ、楽譜あります。」
「え、あるの??」
「あります~。ちょうだい!って言って、もらった。」
「…え…。。。」
そんな訳で、もらい物の「マタイ受難曲」は、私のところで新たなる役割を果たしてくれそうである。スラーや、ブレスの書き込みは、懐かしい。コラールのところには、何も書かれていないけど、与えてくれるものは多そうだ。受難はともかくてして。(笑)
それでは、また!
仲村真貴子
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