こんにちは。仲村真貴子です。
「バッハを弾くのが難しいのは…
(ドドんっ)
バッハが生きた時代と楽器が違うから〜!」
…流行りの某叱られる系番組風に紹介すると
こんな感じかしら?笑
少々短絡的かな?と思いつつ
これが一つの答えであるならば
当てはまるのは
「平均律」よりも
「ゴールドベルク変奏曲」だと思う。
バッハが生きた当時と
楽器が違うから…
つまり、
バッハは今現在の「グランドピアノ」と云ふものを
知らない訳だ。
曲の難しさはそれぞれに違うけど
単純に「弾くこと」を考えたときに
楽器の違いによる難しさを実感するのは
「ゴールドベルク」の方。
…そうでした。
「2段のチェンバロのための」って
ちゃんと最初に書いてありました。
「平均律」はある意味で
物心ついた頃からいずれは
「ピアノで弾くもの」という意識があって
それほど違和感がない側面がある。
確かに曲想から
「チェンバロのような」
「オルガンのような」
イメージを持つことはあっても
ペダルを使える現代の楽器は
利点でもあると思う。
…ちなみに
「チェンバロの音が想像できない!!」
という方は、コチラをどうぞ。
https://www.kyogei.co.jp/shirabe/iroiro/b_baroquehoedown.html
そのものズバリ、ドンピシャ!
ではないですが、
「え??この曲のコレ?!!」
ってなると思います。笑
私は大学の3年間、
副科でチェンバロを履修していて。
チェンバロでオペラに参加したり、
コンチェルトもやったり
やりたいことは全部やってやろう精神の下に
全部やりました。
もちろん、
「ゴールドベルク」も。
ペダルで繋げたいのに…
と思うものは若干苦労しましたが
2段使えるものは本当に楽しかった。
そして、
ピアノよりも遥かに弾きやすい。
チェンバロを弾く時は特に、
音の繋げ方・切り方を、
あるいは重ね方なんかを工夫する必要があって
これはピアノで弾くときにも
何となく取り入れています…
というか、
チェンバロを弾いてから
感覚が変わったところかな。
そう、
チェンバロって
鍵盤が「2段」あるものも、ある。
1段のものもあるんですが、
それは小型版ですね。
「ゴールドベルク変奏曲」では
各変奏ごとに
わざわざ「1段で」「2段で」
という指示があって…
まぁピアノは1段しかない訳なんですが。
何が問題か?
というと、
音域が重なるんですよ。
ピアノの楽譜っていうのは
大体2段で。
- 右手は上・高い音域(=鍵盤の右側担当)
- 左手は下・低い音域(=鍵盤の左側担当)
…まぁ大雑把にこんな感じ。
「音域が重なる」
っていうのは、
鍵盤が2段あったら
段差があるので特に問題がない。
鍵盤が1段だったら…
どっちが右手で
どっちが左手??
ってことです。笑
ちなみに
そのまま入れ替わってしまうことが
度々あって…
えーと
上が左で
下が右???
みたいな、脳トレ状態ですね。苦笑
私は腕が交差した状態で弾くのが
あんまり好きじゃないので
重なったり交差したりしないように
工夫して変えています。
友人は
「読み替えるのが面倒だから
そのまま交差で弾いた。」
と言っていて、
その気持ちもわかる。
最初はそうしたかったけど。
元々交差が得意じゃなくて…
あの、ブルクミュラーの最後の方の
「つばめ」って曲だったかな。
交差の練習で、
「ちゃんと練習」って書かれてました。
このあたりの指使いは
「正解」はなく
自分の体格とか手の都合、
得意・不得意なんかを考慮しつつ
工夫するしかないと思います。
私はこの「ゴールドベルク」に関しては
やっぱりグレン・グールドの演奏が
強く印象にあって…
交差しない「読み替え方式」にすると
音の聞こえ方が
グールドっぽくなることがあって。
多分、
グールドも入れ替えてたんじゃないかな?
と、推測します。
指使いによって、
やっぱり「音の鳴り方」って
変わるからね。
「不眠症に悩む伯爵のための…」
という逸話のある30の変奏曲は
3の倍数でアホに…じゃなかった、
3の倍数で毎回カノンが登場し、
しかも「音程がどんどん広がってく」
という
仕掛け付き。
(第3変奏→1度、第6変奏→2度…という具合)
登場するヴァリエーションは
スタイルやキャラクターの意味で
バラエティーに富んでいる。
「あー、いつもこの辺りで寝てた…」
と思ったり、
「やっぱりこれが好き!」
と思ったり。
第30変奏のカノン…ではなく、
ドイツの「民謡」が2つ合わさった
終わりゆく曲の切なさを
早く味わいたい。
それでは、また!
仲村真貴子
最近のコメント