「教科書に出ているまでのことはできるけど、そこから先にいく壁は高い!(中略)必要なのは大量の時間と経験なのかな」
今ロンドンに留学している私の友達が、数日前にツイートしていた言葉。もちろん、外国語の習得に関して、です。
曲りなりに外国で生活した身として、すごくよくわかるコメント。
時間と経験…。
正直、私はそれを、言い訳のように感じていました。物事を先送りにして放っておくとか、出来ない自分に対して腹が立ったりとか。
…というか、「時間と経験が必要」と気付くまでに、「時間と経験が必要」だったように思います。
外国に住んだら、その国の言葉が喋れるようになる…
これが幻想だということに気付いたのは、留学3年目。
その辺りから、「ドイツ語ができるようになりたい」と思うと同時に、「すでにドイツにいるのにドイツ語が出来ない」と葛藤するようになった気がします。
「まぁ、アジア人はみんなドイツ語出来ないから。」
と初対面のドイツ人に言われて必要以上に傷ついたり、
ドイツに長く住む日本人に
「ほら、見て、日本人。努力って言葉が好きで何の役にも立たない。」
と言われて、その頃は自分がドイツ語を喋るのが本当に怖かった。
でも、講習会のドイツ語のクラスで出来なくて大泣きしたときに
「人が1日6時間ドイツ語を勉強するとして、もし6時間ピアノを弾いたら、それは出来るようにはならないよ。」
悔しかったけど、それにはすごく納得。そっか、そういうものか、と。
留学生活、あるいは海外での生活のあらゆることに満足する…なんていうのは成し得ないこと…と知りつつも、満足していないことのひとつは、実はドイツ語。でも、コンクールでイタリアに行くと不思議とドイツ語がうまくなって帰ってくる…なんていうこともあったし、今のほうがある面においてドイツ語ができるような気もする。そんな話を、先日ある人としていて。
「『どうしてあのときもっと…』って思うかも知れないけど、それは仕方ないこと。経験がないっていうのは、そういうこと。それと、今あなたにいちばん必要なものは時間だよ…。」
「時間と経験」っていうのは、言い訳ではなさそうですね。
そう、願いつつ。
勝手に、テニス大坂なおみ選手の全豪OP優勝に寄せて。
仲村真貴子
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