外国にまつわる、よもやま話9〜「…こんな時、どうする?!」〜

こんにちは。仲村真貴子です。

「…こんな時、どうする?!」

まぁ、人生とは。
そんなことの連続ですね。

「人生」とかいう大きなことは
さておき。

「…こんな時、どうする?!」
の、いちばん大きなところは、
練習の問題だった気がします。

これは、
私が日本での生活で
すごく恵まれていたところでも
あると思います。

好きな時間に、
好きなだけ弾けること。
その、有り難さ。

「練習の問題」というのは、
何も外国の話に限らない。

ただ、
「更に大変なこと」とは、
言えるかもしれません。

これはやはり、
場所次第なところもあって、
意外にウィーン、ベルリン、
あるいはハノーファーなんかは
結構自宅にピアノがあって
好きに弾けた!という話も
割と聞きます。

ただ、
大方のドイツ、
あるいはパリ、イタリアなんかは
本当に大変!!
という話をよく聞きます。
弾ける家を求めて
引越し何回!とか。

私が住んだ街、
Mannheimマンハイムでは
街中にピアノを買ったり借りたり
できる場所がありません。

つまり、
家にピアノを置きたいと思ったら、
カールスルーエや、
フランクフルトから
運ぶ必要がある。

ここが第一関門。

運よく
ピアノを持っている人の
入れ替わりに入れる…
なんてことも聞きますが。

ただ、
問題は
「ピアノを置ける家」と
「ピアノが弾ける家」が
イコールではないこと。

例えば契約書に
「楽器演奏可」と書いてあっても、
近所の人から苦情が来たら
やはり練習はできない。
そんなところです。

元々は家好きの私、
家に楽器を置きたいのは山々ですが、
家で安心できないとか、
引越しをし続けるのも嫌だったので
割と潔く
家に楽器を置くことは諦めました。

中央駅から、
本当に歩いてすぐの家。
下はスーパーとピザ屋、
屋根裏部屋っていう
ちょっとヨーロッパっぽい感じ。
家は気に入っていましたね。

一方で、
学校の練習室が充実しているか?
というと、
もちろんそうではなく。
そこには常に
「工夫」と
「覚悟」が必要。

便宜的には24時間練習可能ですが、
それは
「好きな時に」
「好きなだけ」
という訳ではありません。

グランドピアノは
地下に8部屋ほど、
新しい建屋に確か12、13位だと
思いますが。
他にレッスン室が空いていれば…
でも、レッスンの状況次第、
ピアノは使えてアップライトが多い。
予約はできないので
常に人がいたら待たなくてはいけない。
夜中は地下が使えます。

1時間半待って2時間弾けるとか、
そんな具合。

贅沢を言うなら、
窓のない地下は
あんまり篭りたくない…。

慣れるとだんだん
アタマを使うようになって、
「夕方は2時間使える」
「最後ならちょっと伸びる」
「金曜は結構空いている」
みたいなことがわかってくる。

そんなこんなで、
並ぶタイミングは、
かなり工夫していました。
そして、
「2時間で何をやるか?」
そんなところも、
アタマを使う必要が…。

私は結構、
何でもスロースターターなので、
朝も起きられないし、
練習も気が乗るのに
かなり時間がかかります。

例えば、
4時間練習するなら、
6〜7時間部屋に
いたいような感じ。(笑)

だけど、
待ち時間が長いと、
待っている間に遊びたくなったり、
本当は弾きたいのに
部屋をもらう頃には
疲れていることも、しょっちゅう。

だから、
練習するときは、もう、
雨が降っても
雪が降っても
槍が降っても
やるぞ!
みたいなテンションが必要。
そんな感じでした。

あとは、
具体的に計画を立てること。
今日は絶対に暗譜する、
この曲の出だしだけはどうにかする、
いいから今日は通す。
練習する曲の順番は、こう。
これを、前の日にシャワーでも浴びつつ
考える感じ。

練習は量より質で勝負!になったのは、
苦肉の策ではあるのですが
その分集中力は着いたかもしれません。
ダラダラやっても、
仕方ないし。

…けれど、
本音はダラダラしたいんですけどね。(笑)
時間を気にするとか、
次の人のノックにビビるとか、
「外出すること」の関門がないのは
やはり幸せなことです。

家にピアノがないくせに、
滅多に学校には姿を表さず、
飲み屋には出没する…
という生活に、
「マキコは大丈夫か?」
「本当に練習しないよねー」
「…忍者なのではないか?」
そんなあるようなないような噂も、
いい思い出です。

時には
「練習しなさい」と怒られ、
あるときは
「練習できない…」と嘆き、
人間とは何とも贅沢な生き物。

常に
「工夫すること」
「決めること」
「動くこと」
…そんなことを思いつつ、
「休むこと」
「悩むこと」
…そんな毎日だったかな、
今も変わらないかな。

練習ひとつにしても、
こうやって文章ひとつ書くにも
エネルギーは必要なものですね。

でも、そこに何かが
凝縮されていることを願って。

それでは、また!
仲村真貴子

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