おうたのおはなし7〜紙をめくる練習?!〜

こんにちは。仲村真貴子です。

…歌い手と演奏するときに
いつも練習すること。

それはズバリ

「譜めくりの練習」です。笑

何とアホくさい!!

…っと思った??

コレ、意外に大変というか、
非常に気を遣う。
そして、とても大事です。

「譜めくり」とは
「楽譜をめくる」。

紙をめくる練習をする、というか
弾いているときに
「めくる」練習をする訳です。笑

ソロを弾く時は大抵「暗譜」。
誰かと一緒に演奏する多くの場合、
ピアノならコンチェルトを除く
ほとんど全ては「視奏」、
つまり楽譜を置いて演奏します。
見て、というよりも「置いて」。
実際、暗譜していることも多い。

違いはどこにあるか?
というと、
「相手がいるかどうか」
その部分が大きいと思います。

1人で弾くなら、
何か事故があっても
自分の責任で、
極端に言えば別に他人に迷惑がかからない。笑
何度でも止まってやり直せばいいですね、
別にそれでいいんだったら。笑
実際問題、例えばリストとかショパンとか
「暗譜してないと、弾けない」
という感じ。
楽譜を見ながら弾くには
音が多過ぎる。

一方で、バッハやモーツァルトの時代には
「暗譜」という概念は
それほど重要視されていなかった。
「音が多過ぎるから、
暗譜していないと却って無理」
という感覚は、
文字通り「音が多くなった時代」
「楽器がたくさんの音を鳴らせて
頑丈になってきた時代」と重なる訳で、
一説には暗譜でリサイタルを最初に行ったのは
リスト、だとか。
「暗譜で弾く」
というのが、
そのまま超魔術的に映ったのかもしれません。
暗譜の方が効率いいしね。
そうじゃないと、無理だしね。笑

誰かと演奏するときも、
暗譜するくらいさらう。
というのは大事だけれど、
「楽譜を置く」というのは
誰かに何かがあったときに
ぐっちゃぐちゃになるから!!
という理由は、大きい。

実際、歌手が暗譜を飛ばしてしまい、
慌ててめくった…
という経験は、複数回あります。
1人で演奏して、
勝手にワープするならいいけど、
本番の時に一緒に路頭に迷うわけには
行かないですよね。笑
「暗譜が飛ぶ」というのは
不測の事態であって、
「暗譜が飛ぶ」練習はしないので(笑)、
そんな時にやっぱり楽譜が必要になります。

「なんでめくってるのかな〜?
とは思ったけど。
全然気付かなかった!!」

とか言われるのは、
結構ドヤ顔ですが
あまり望む事態ではございません。笑

さて、室内楽みたいな大きな曲ならば
自分でめくることは
ほぼ不可能なので
誰かにお願いしてめくってもらいます。

テレビとかでたまに見る、
ピアニストの斜め後ろくらいに
座っている人。
俗にいう「めくりスト」という訳です。

これが重要かつ意外に大変なお仕事で、
結構怖いんですよね。。。

「別に紙めくるだけじゃん!!」

って感じなんですが、
タイミングは人それぞれ。
ギリギリまで見たい人、
結構早めの人。
私は割と早くめくって欲しいタイプですね。
先が見えていないとコワイんです。
人生と一緒。笑

それと、
曲によっては全くどこ弾いてんだか
ワカラナイ、
だからこそ頼まれてるんですが
非常にドキドキします。
2枚めくったらどうしよう、
ここ、繰り返しで戻るんだよね…とか。
うちの先生、Pistoriusが
生徒の伴奏でシューマンのピアノ協奏曲の
オケパートを弾いた時に
譜めくりやったんですが、
聴き惚れて大分危ないことになりました。笑
あの曲、オケの拍子が謎すぎて超大変…
という小ネタを挟みつつ、
「先生がうま過ぎて聴き惚れちゃった!!」
って言ったら、
満更でもなさそうで許してくれました。笑
この場を借りてお詫び申し上げます。。。

もう一つ、
譜めくりする人の「不安感」っていうのは
結構伝染するもので、
「…大丈夫かな?」
という雰囲気が、
弾いているこちら側に伝わってきて
却って不安になってしまうこともあります。
なので、
私が人の譜めくりをするときは
極力オーラを消すように努めます。笑
「いかに邪魔にならずにめくるか。」
これが勝負でございます。笑
音はしないか。
腕とか邪魔にならないか。
「相手の立場に立つ」とは
時に自分の存在を消すことでも
ある訳ですね。
実際にオーラが消えているのかどうかは、
知らない。笑

さて、「自分でめくるとき」。

歌い手と演奏する場合は
曲が短いこともあるし、
人手が足りない、
煩わせたくない、
という理由から
「自分で」「弾きながら」めくれるように
試行錯誤することも少なくありません。

私は未だに紙の楽譜派で
タブレットは使用しませんが、
いずれにせよ
「譜めくり」は心配材料かと。

そんな訳で、
歌い手と一緒に演奏する時に
必ずやること、気をつけていることは
「楽譜の確認」です。

めくりの練習も、そう。
どこでめくるか。
どう置いたら、めくれるか。
製本した楽譜の、
ここを伸ばして置いたら
次めくれる…
置き間違えたら、
ここ絶対めくれないじゃん!!
あー、楽譜落としそうかな、
ここ覚えてここでめくっちゃったら
イケるかな…
みたいな、確認。

それと、
弾き始める時に
楽譜の最初が見やすい位置にあると
最後の方が右端に行き過ぎて
見えにくい、弾きにくいのですね。
なので、
「楽譜は左寄りに置く」
これも、気をつけているポイントかも。
楽譜の左端に、
左向きの矢印「←」を書いて
気づくようにもしています。

今日のまとめ:

・誰かと演奏する時、
自分で楽譜をめくる場合は必ず確認する!
・楽譜は左寄りに置くといいかも。
・楽譜があってもちゃんと練習しようね。笑

…何か練習してたら、
だんだん「譜めくりの練習」みたいになってきて
ちょっと面白くなっちゃったので
書いてみた。
ピアニストとは
「ピアノを弾くだけ」にあらず。
紙をめくるのも大事、
結構勝負してます。

それでは、また!
仲村真貴子

追伸:
何かページいじってたら
文字数も出るし
レイアウトとかも出るし
なんか色々出るじゃん!
とか思う、午前2時。。。