自分の演奏

こんばんは。仲村真貴子です。

「自分の演奏の、いいところは何?」

と訊かれたら。

実は私はその質問に即答できない。

「じゃぁ、悪いところは?」

と訊かれたら。

テンポ感とリズム感がイマイチ
演奏に強烈な個性とかインパクトがない
テクニックがない
スピードとか、強さとか、ない
演奏…というよりコンプレックスだけど、手が小さい
小指が極端に短い

…こんな感じかなぁ。
でも、手の大きさと小指以外のことは、正直ピンと来ないものもある。

自分のいいところ。

真面目に練習していた小さい頃、あるいは高校生の頃。
「自分が世界一下手クソだと思って練習しろ。」
とか言われたことがあったっけ。

あるいは、「真面目に練習しすぎ」「頭で考えすぎ」と言われることも多くて、もう何がいいのかわからなくなった。本来なら「褒め言葉」であるはずのものが、全部悪いものに聞こえて、自分の演奏にいいところなんて無い…と、結構本気で思っている節もある。冷静に考えれば、それはさすがに…と思うけど、「じゃあ、何がいいの?」と言われると、正直やっぱり困る。そして、自分ではあまり納得できない。

「自分の演奏のいいところは?」

この質問を最初にされたのは、受験で失敗しまくっていた頃。手当たり次第、思いつく人に相談して、高校の先生にこの質問をされた。そして答えられなかった。

「それは、あまりに自分を卑下しすぎじゃない?
自分のいいところは、自分でちゃんと守らないと、誰も守ってくれないよ。」

へー、そーなんだ。

その位にしか思わなかったけど、その言葉だけは妙にハッキリと覚えている。入試で失敗しているのに、いいところ探すなんて無理だよ、と思ったことも。

ドイツでの本番後に、毎度頭がおかしくなっていたとき。

「昨日の本番、どうだった?」

と訊かれると、

「うーん、あんまり。わかんない。」

と答えていた。

明らかに失敗したときは、明らかに不満げで機嫌が悪かったけど(笑)、それ以外は「うーん、あんまり。」

「え?『うーん、あんまり。』っていうもの聴かせて、どうするの?」

あー、なるほどね。
でも、アナタと違うから。

…と思ってしまっていた。

確かにアナタとは違うけど。でも、「いえいえ、それほどでも…」という、取り敢えずの謙虚さにかまけて、自分のいいところ、自分が「いい」と思うものを見失っていた。

…と、いうことに直面したのは、つい最近。

多分、直面せざるを得なくなったのだと思う。

自分がいいと思うものを「いい」と言うには、自信が必要。そこには責任もあるし、大変なこともあるかも。でも、自分を信じられる「自信」が欲しい、とよく書いたことも、久々に思い出した。

「自分のいいところ。」

自分でちゃんとわかったら、一歩進めるかもしれない。

それでは、また!
仲村真貴子