As-Durの悩み

こんばんは。仲村真貴子です。

いわゆる「調性音楽」といわれるものに存在する、24の調性。

私はこれに、24色の色鉛筆とか、色の相関図に近いイメージを持っていて、調性を色彩とか質感でイメージするのが結構好き。「〇〇色が好き」というのもあるけど、たくさんの色がグラデーションのように並んでいるのを見ているのが結構好きだったりする。先頃の、アイシャドウの話もしかり。(笑)

とはいえ、やはり「何となく好き」という色は存在する。
調性でいえばAs-Durはその1つ。変イ長調。♭4つの調。

…というのも、この調。
ピアノ曲に名曲が多い気がする。
特に、ベートーヴェンとショパン。
ベートーヴェンなら、ソナタの12番と31番。
ショパンなら、英雄ポロネーズ、幻想ポロネーズ、バラード3番、エチュードも、ワルツも。
シューマンの「謝肉祭」なんかもそう。
ちなみに、同じ♭4つの短調…つまりf-Moll、ヘ短調を加えると、もっと名曲揃いになる。
ベートーヴェンなら、ソナタの1番と「熱情」。
ショパンなら、幻想曲、バラード4番。
シューマンのソナタの3番、ブラームスのソナタの3番はどちらも大曲。
ハイドンも、As-Durの素敵なソナタがあるし、アンダンテと変奏はf-Moll。
バッハの平均律のAs-Durは、2曲とも本当にいい曲。
…まぁ、思いついたままに列挙しただけでも、演奏会2回分くらいになりそうである。

このAs-Durという調性。
私はとても高貴なイメージを持っている。
実際に、そういう曲も多いと思う。
色に例えるなら、紫とか、群青色とか。ツヤっぽくて、照りがある感じ。

昨日、バラード3番を弾いていて、この愛すべきAs-Durにおける個人的な悩みに気付いてしまった。

「手がきついことが多い。」

小指が極端に短い私。
左手は特に短くて、「薬指の半分」と、師匠Pistoriusその他大勢に愛でられてきた。(笑)

例えば、「謝肉祭」の冒頭、2つ目の音とか。

小指と人差し指の突っ張り具合…。(写真だと、あまり伝わらない気もしつつ…。)

このカタチ。
外側白鍵のオクターブ+中が黒鍵。
この、中の黒鍵が親指側に寄っていると、非常にキツイ。
どれくらいきついか?というと、「鍵盤のここに触らないと、外れる」というくらい。(笑)
そして、愛すべきAs-Durに、このパターンが非常に多い。(理由は、属音だから。)
なるほど、ショパンのエチュード作品10-10。その大変さが、そのままエチュードになってしまったわけね…と、一人苦笑いしている。

片想いが「苦しい」と言いながらちょっと楽しんでいるのと同じで、久々に私の人差し指と小指(特に付け根)がちょっと突っ張っている。でも、その分アイスがおいしい。(笑)

As-Durの「交響曲」とか、コンチェルトとか、あまり思い浮かばないから。
As-Durを愛し、悩めるのはもしかしたらピアニストの特権かもしれない。
そのうち、「♭4つによる夕べ」とか、開催してみようかしら。(笑)
和音をつかむギリギリさと、響きの工夫を楽しみつつ…

それでは、また!
仲村真貴子