外国にまつわる、よもやま話23〜現代曲とイタリア〜

こんにちは。仲村真貴子です。

「イタリア」と言う場所に
興味を持ちつつも、
結局はイタリア人に
ピアノのレッスンを
受けたことはなく…。

唯一、
レッスンを受けたのは
Marco Rizzi マルコ ・リッツィ。
友人たちの師で
ヴァイオリニスト。
ちなみに、
お兄さんのCarlo Rizziは指揮者。
でも、
音楽一家だった訳でも
ないみたいですね。

自分のピアノのレッスンを、
いろんな先生に受けまくったか?
と言うと、
割とそうでもない。
混乱するのが怖かったような
気がするし、
単発よりも
長くちゃんとお世話になりたいタイプ。

ただ、
かなりレッスンオタクではあって、
伴奏などでお邪魔するレッスンは
相当見ているはずです。
ピアノ以外のことも面白かったり、
何かを盗んでやろう…と意気込んだり。

そんな訳で、
Rizziも、その1人。

…何か、
一言で言うのが難しいんですが。(笑)
ヴァイオリンのうまいオジサン、
ちょいワルオヤジ…
うーん、何かしっくり来ない。
まぁ、「ちょいワルオヤジ」と言ったら、
門下の子たち、
笑うかもしれませんね。

レッスンとか、
かなり怖いし、怒るんですよ。(笑)
でも、
何かねちっこさがないって言うか、
悪気がないって言うか、
ハッキリ言うだけ!って言うか。

イタリア人の冗談…
コショウがピリっと辛い!
みたいな感じかな。
ドイツとかロシアのそれとは
ちょっと違う。
笑いのツボの違いみたいな。

言葉で説明するのが上手、
言葉に意味を持たせるのが上手なのは
イタリア人の特徴かもしれませんね。

「この曲、どう言う風にしたいの?」
「そのためにどうしたらいいの?」
「じゃあ。そうやって。」
…こんな流れ。
説明させる、
今風に言うところの
「言語化」ってヤツです。

本番当日に別の曲をレッスン!とか
かなりスパルタなこともやるので、
チキンな私は
門下だったら
泣いちゃったかもしれません。(?!)

テクニックの教え方も、上手。
ベートーヴェンのソナタの8番で。
「左手(弦を抑える方)は、
りんごを握る感じ。
右手(弓の方)は
ハエ叩きをする感じ。

いいか。
「りんご」と。
「ハエ」だ。」
(…ふむふむ。笑)

「指遣いの考え方、
オレ天才!」

みたいな発言もありつつ。(笑)

友達とその話をしていたら、
「長時間練習したくないから、
いかにサボるかを考えてると思う。」

…まぁ、その発言も
いかにも彼の生徒らしいんですが。
その辺りの合理的な感じは
イタリア人らしいな…と思うところ。

いい意味で、
「音楽だけじゃない」んですよね。
他の時間も大事。
苦痛や苦行は、減らすべし。

私が一緒にレッスンに行った、
ヤナーチェクの時も
面白かったですが、
いちばんの思い出は
現代曲。

ハインツ・ホリガーと言う、
存命のオーボエ奏者にして
作曲家。

曲はバリバリの現代曲で、
ピアノは内部奏法の
オンパレードです。
楽譜…もとい、
記号の解読から始まる…と言う。

難解な現代曲を
何となく最初から順番に
弾きました!
みたいな感じで終わりそうなところが。

「ここはモーツァルトが
現代だったらこんな感じ。」
「崩れてる音の中に、
突然登場する単純な和音の
インパクト。」
「ここからは踊りの要素。
でも、すごくシュール。」

…整理する、と言うか
イメージとかアイデアが
すごく豊富。

それに、
特にイタリア人。

プログラムの中に
現代音楽を取り入れるのが
上手な気がします。
パロディみたいなものとか
効果的に入れられる。
彼の門下を見ていて、
そんなことを思いました。
それに、
イタリア人たちは
キャラが本当にそれぞれ。
演奏も、
同じイタリア人なのに
本当に全く違う。

ちなみに、
内部奏法では、
ピッツィカート、
ハーモニクス、
(…弦を抑えて倍音を鳴らす)
弦を叩く、擦るみたいな、
弦楽器的な奏法が多く。

ピアニストからすると、
何か罪悪感があるんですよ。(笑)
「ピアノ、大丈夫かな?」みたいな。
まぁ大丈夫なんですけど。

「いいか。親指でハジけ。」
「叩く時は、指をまとめて。
あ、バッハのコンチェルト
弾けちゃった。(笑)
これ楽しいね。」
「楽譜は開けた蓋に
貼り付けよう。
(…ピアノの蓋から暖簾。笑)
さすが、オレ。」

こんな具合で、
ヴァイオリニストから
ピアノにおける弦の弾き方を
伝授頂き、
弦を擦るときに
ペダルを踏みすぎて
予想外の音が出てしまい、
そこにいた門下全員が
いまだかつて無いほど笑い、
挙句本番中に
貼った楽譜が剥がれて落ちる!
と言う、
珍事のオンパレード。
泣き笑いの楽しい思い出です。

真面目なコメントをすれば、
とっつきにくい現代曲は
こうやって組み立てればいいのか!
と言う、ヒントに。

それよりも。
・「好きな作曲家はモンテヴェルディ。」
・「ヴィヴァルディが最高」
・「練習時間が欲しいから」と言う理由で、
朝のレッスンを夕方の子に
変わって欲しいと申し出る。
・本番の靴はスニーカーで登場
(…忘れてどうしよう!と本人)
・本番の舞台裏ではゲーム
「どうぶつの森」(…ちなみに音あり)

こんなリベラルで
個性的な人たちが印象的。

ピアニストじゃないと、
こうも楽しいんだ!!
…なんて思いつつ。

今、彼の生徒たちは
音階の動画を録画して
必死に先生に
提出しているそうです。(笑)

意外な面倒見の良さと、
スパルタ感。(笑)
私も音階の動画を…?!

それでは、また!
仲村真貴子



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